むぎ茶の資料室

いままで書いてきたものを残していきます。

対等な関係

 

だいぶ昔にネットで見た海外のBDSMポルノで忘れられない作品があります。

コンクリートに囲まれた冷たい監獄で、床には少し水が撒かれており、そこでS男性がM女性を責めるという内容です。序盤、M女性は濡れた髪を引っ張られて引きずり回され、イマラチオをさせられ、悲惨な目に遭います。しかしよく見ると気づくのですが、このストーリーの中でS側は決して道具を使うことはありません。まるで自分の手でM女性をいたぶることに意味を見出しているかのようでした。

特に印象に残っているシーンは、S男性がM女性にビンタをするシーンです。

S男性がしゃがみ、四つん這いになって疲弊しきっているM女性に目線を合わせ、強いビンタを食らわせます。そしてS男性はこう言い放ちます。「俺にも同じことをしてみろよ」と。M女性は困惑して、最初は手を出せませんでしたが、あまりにS男性が「ほら早く」と急かすので、ビンタをします。しかし「そんなものじゃない。さっき俺がしたのはそんな程度だったのか」と言われ、何度かM女性はやり直しをさせられます。S側がMのビンタを急かし、もっと強くしろというのは、異様な光景ですよね。

何度かやり直しをさせられた後、さすがに煽られ尽くしたM女性は、これでもかと言わんばかりの精一杯の力でS男性にビンタをしました。次の瞬間、はじめに食らったビンタの3倍ほどの衝撃の張り手がM女性の頬に入りました。

そしてM女性につばを吐き捨て、俺にもつばを吐けと指示します。M女性は叩けと言われたから叩いたのに、その倍以上の仕返しを食らったため、憤った顔で男性の顔につばを吐き返します。S男性はすごく満足そうな顔をして、その後も調教は続きました。



私の性癖にどストライクにきたSMビデオはこれが初めてでした。いまでもこれを超えるものを見たことがありません。二人が大事なものを共有している感覚にすごく惹かれました。他者を殴る人は、殴られる覚悟も同時に持っているのは当たり前のことだとも思います。

私はSもMも平等だと考えています。Sも結局は変態な姿を晒しているMを見て高揚したり、上位の立場にいること自体に快感を抱いているためです。単にベクトルがお互いに向いた性癖を持った人たちが、特別な二人の時間を過ごしているだけなので、本当の意味での優劣はSMに存在していないのだと思っています。そんな私のSM像にピッタリとハマッたビデオだったので、いつまでも私の記憶に残り続けているのかもしれませんね。

このビデオをずっと探しているのですが、もうネットの海に呑まれてしまって見つけられません。もしかしたら、私の夢の中の話だったのかもしれないとさえ思います。自分の求めていたものが作品でそのまま表現され、運命を感じる瞬間、誰しもきっとありますよね。