むぎ茶の資料室

いままで書いてきたものを残していきます。

男性性と私

私は男性とも女性ともお付き合いをしたことがあります。女性とは円満に付き合うし、円満に別れられるのですが、男性とはそうはいかないことが大半でした。いつもその理由は同じで、男性のプライドが折れないことが私は嫌で嫌で仕方がなかったことが原因です。

十代の頃、当時お付き合いしていた男性がセック/スの最中にあまりにも無表情だったためビンタをしたことがあります。それは私がSだからとかではなく「この人は一体どうやったら感情をむき出しにして、さらけ出したセック/スができるんだろう」と私なりに真剣に考えた結果の行為でした。単純に、さらけ出さずに省エネでセック/スをしている彼のことを、私は可哀想に思い、気持ちよくなれる手伝いをしてあげたかったのです。そんな真意など到底伝わるはずもなく、彼とは長続きもしませんでした。


少し前の日記にも書きましたが、私は数年前までホルモンバランスの影響で膣前庭炎という体質でした。なのでどう頑張っても性器の接触が痛くて仕方がなかったのですが、それでもセック/スを嫌いになることはありませんでした。なぜなら私にとって性行為の目的は、身体的な快感よりも自己の解放だったからです。お互いに絶対に誰にも見せないような情けない姿を見せて、本気で興奮したり、泣いたり声を出して繋がり合う行為自体が好きだったのだと思います。

私の中には根底にこのような「他者と本気で繋がりたい」というものが常にあり、それを実現するためにSMやフェチを使っている部分があります。ですが、男性のほとんどはそれをしようとしません。

昔書きましたが、一般社会において男性はあらゆることに動じず、感情表現を抑えめにして、強く頼られるような存在であることが暗に求められている傾向にあり、そうなろうと努めようとします。

私も女の子らしさはあるので、そういう頼れる男性に惹かれる部分ももちろんあるのですが、"頼れる男性"の部分だけ見せられても私は決して満足できませんでした。男性側としては私みたいな小動物っぽい女の子と付き合ったのだから、守ってあげなきゃとか、自分が支えてあげなきゃと思い、強い男性を演じてしまうのも当然だったと思うのですが、生憎相手が根っからの変態の女の子だったために、それではビンタをされることになってしまいました。

この経験からしばらくの間、私は男性性を嫌悪するようになり、恋人間のセック/スも大して面白く無いなと思うようになります。そこからは沢山試行錯誤をしました。男性にこの邪魔な男性性を捨てさせるにはどうしたらいいんだろうとか、よりいいセック.スにするために男性のプライドを傷つけずに誘導してあげる方法を模索し続けました。その過程で、男の子に女装をさせたり、ペニバンをしたり、赤ちゃんみたいな扱いをするプレイをしてきました。

私はプライドを捨てられる男性は素敵だと思っています。これは仕事や何か熱意を持っている物事に対してのプライドではなく、女性よりも強くなければいけないという男性性への執着のことを指します。女性に頭を下げられる男性は、成長し続けられると思っているので、私はSとかMに関係なくそういう男性を好みます。

男性って不思議な生き物なんですよね。ペニスを勃起させるというあまりにも愚かな外見をし、射精をするというお漏らし行為に近いことをしているのに、なぜかペニスと射精を誇らしく思っています。ですがそんなプライドを腫らしたままでは、セック.スは下手くそなままになってしまいます。

女性はかわいらしくあることを捨て、男性はプライドを捨てるほど、プレイは良いものに変わっていきます。私の昔SMを教えてくれた先生は「射精は負けることである」と言っていて、まさしくそうだなと思います。弱い自分を認めて、それを女性に受け止めてもらう行為が射精なのかもしれません。



またSMやセック.スは総じて、負けたもん勝ちです。快楽や責めに負けたほうが、快楽を貪れるんですから。昔から「せっかくSMしてるんだから、積極的に負けていけ、負けたもん勝ちだよ」ってよく口にしていました。

昔「ジェンダーと免罪符」という日記を書き、今でもブログに残しているのですが、それがMの男性に結構刺さるようで、いまでも感想のDMが私に届きます。多分この日記が色んな男性に刺さる理由は、「みんな本当は負けたいから」だと思います。弱くあることを許されたかったんですよね。

その点、女性は弱いことが当たり前に許されるわけですから、なかなか弱さを認めてもらえない男性の苦労が分からなかったりします。私には男性がプライドを捨てられない理由について性経験を通して深く考察する機会がありましたが、普通に暮らしていただけなら当たり前に「男の子なんだから、我慢しなさい」と口にしてしまっていたと思います。

変な話ですが、男性に対して不理解だったり押し付けてしまう自分に気づけたのは変態だったおかげです。これからもコミュニケーションやプレイを通して、貴方たちのことを私に教えてね。